2019年11月12日付にて、第10回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 ガス事業制度検討ワーキンググループが開催された旨、経済産業省のウェブサイトに掲載された。

今WGでは、説明・自由討議として以下が議題となった。

(1)二重導管規制に係る変更・中止命令の判断基準に関する検討
(2)熱量バンド制に関する検討

二重導管規制の緩和と熱量バンド制への移行は密接な関係にある。現状は熱量が調整された都市ガスのみが消費サイドに届けられているが、仮に熱量バンド制に移行すれば、消費サイドが、自身の住環境・商工業環境等に合わせて調整/未調整の都市ガスのいずれかをより手軽に選択し、利用することができるようになる。

以下、筆者の個人的見解ではあるが、

仮に熱量バンド制に移行していった場合、都市ガスの小売事業者は、カロリー数の高い天然ガスを取り扱っていれば、基本的にはガスの熱量を調整する必要がなくなる。(このため、都市ガスの製造コストが微量ながら下がり、その恩恵が消費者にもあるものと考えられる。ガス機器メーカーをはじめ、素材加工等に天然ガスを利用する事業者等も、熱量未調整ガスを意識した商品開発を進めていくことになる)

では、その先には一体何があるのだろうか。

熱量未調整の都市ガスを使うことが当たり前の時代になると、それに比例して熱量調整した都市ガスの需要が減っていくことになる。そして、いずれかの時点で、そもそも熱量を調整したガスをこのまま使い続ける必要があるのかとの議論になり、現状の熱量調整した都市ガスは、徐々に、熱量未調整(もしくは混合)の都市ガスにとって替わられるようになるかもしれない。そうして需要構造が変わることで、「二重導管」のもう一対には、都市ガスではなく、再生可能エネルギー社会の進展とともに、余剰電力によって生産された水素が流されるようになる。水素の効率的な輸送には、パイプラインが有効だ。

熱量調整/未調整のいずれか、もしくは両方の導管により、都市ガスと混ぜ込む形で水素が輸送されるような時代はすぐそこに見えている。既存の導管の耐用年数に合わせて、「二重導管」後の導管の一対は、水素輸送専用に加工された導管に置き換わっていく、そういったシーンも想像される。

WGの検討内容については下記を参照のこと。

【 参照元 】経済産業省 | 第10回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 ガス事業制度検討ワーキンググループ