2019年7月31日付にて、天然ガスの利用がGHGs(Greenhouse Gas: 温室効果ガス)の削減に貢献しているとの内容の寄稿文が、THE HILLに掲載された。

同寄稿文は、Maguire Energy InstituteのAssociate Directorで、米・ダラスにあるSouthern Methodist University、Cox School of Businessでビジネスエコノミクスの特任教授として教鞭をとるBernard L. Weinstein 氏による。

米国の複数の議員によって米上院議会に「グリーン・ニュー・ディール」に資するとされる提案(2030年までに、化石燃料と原子力に頼ることなく電力需要の100%を満たす)が行われた。オーストリアのMises Instituteの検証から、米国の電力分野においてGHGsの排出削減を行うために、2029年までの10年間でおよそUS$5.4兆の投資が必要となり、そこに、年間の運用維持などとしてUS$3870億が加わるとしている。やや現実味に乏しい数字であるが、同氏によると、今年の3月、2020年末までの、気候変動に向けた行動として実現可能な取組提案もろとも議会で否決されたとしている。

実際のところ、アメリカの温室効果ガスは、経済が進展しているにもかかわらず、2005年比で13%減っている。再生可能エネルギーの導入が進んでいることも理由の一つだろうが、むしろ天然ガスの存在が大きいというのが同氏の考えだ。いわゆる「シェール革命」によって、廉価な天然ガスが米国内で流通しており、経済性や環境性に優れているとの理由から、天然ガス焚きの発電所が、石炭焚き発電所に取って代わりつつある。

2010年以降、石炭焚き発電所は減少の一途をたどっている。EIAの報告によると、2010年~2019年の間に、546の石炭焚き発電ユニット(発電容量102GW)が稼働をやめ、2025年までにさらに17GW分の発電ユニットがその役割を終えるとしている。ほんの10年前までは50%近い発電を賄っていた石炭が、2018年には27%にまで低下している。一方で、天然ガスの利用増は顕著だ。温室効果ガスとして問題視されているオンショアオイルや天然ガスの生産工程で排出される漏出メタンについても、2011年~2017年の間にその排出量は24%減っている。生産量が50%増加し、新たなパイプラインが73万マイル増えてなおである。技術的な部分もまた、進展しているのだろう。

詳しくは下記を参照のこと。

【 参照元 】
THE HILL | Natural gas is the ‘real’ green new deal
EIA | More U.S. coal-fired power plants are decommissioning as retirements continue