2019年3月25日付のロイター紙WEB版に、露・ガスプロムのスポークスマン・Jens Mueller氏のインタビュー記事が掲載された。

現在、2019年末の完成を目指して建設中のノルド・ストリーム2について、デンマーク政府への180km分のパイプライン敷設許可申請を行っており、同申請が承認されることに期待がもたれている。仮にデンマーク政府の承認が遅れた場合には、敷設船を増やすなどして対応する考えだ。

『Nord Stream 2/ ノルド・ストリーム 2』は、海底にパイプラインを敷設し、バルト海経由でロシア-ドイツ間をつなぐ、とした天然ガスパイプライン敷設プロジェクトである。建設費用は約110億ユーロ。2017年、ガスプロムが100%出資するNord Stream 2 AGをはじめ、OMV、Shell、Uniper、Wintershal、Engieが、同プロジェクトの資本協定にサインしている。

Jens Mueller氏によると、現在はスウェーデン沿岸部にて敷設作業を行っており、一日あたり6km程度のペースでパイプラインが敷設されている。デンマーク領内の敷設作業を約1か月で完了できるようなペースだ。

また、2019年3月25日付のタス通信WEB版にも、ノルド・ストリーム2についての記事が掲載されている。

これまで、ドイツ及びロシアからは、当パイプライン敷設は商業が目的であり、政治目的での敷設ではないとの見解が示されてきた。とはいえ、プロジェクトの実施について、ドイツのアンゲル・メルケル首相から政治的要素にふれるシーンも見られた。ノルド・ストリーム2が敷設されて以降も、ウクライナ経由での天然ガス輸送がなされるべきとの趣旨の発言だ。これを受けて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領より、ノルド・ストリーム2の敷設プロジェクトの実施は、ウクライナ経由でのガス輸送を終わらせることを意味しないが、ただ、それには商業上の安定性が確保される必要がある旨、言及があったようだ。

実際、ロシアのエネルギー省や露・ガスプロムからは、ウクライナ経由でのガス輸送契約を2019年以降も延長する考えがあり、2019年の9月ないしは10月にも延長契約を、との見立てが示されている。

今後の動向に注目したい。

【 参照元 】
Reuters | Nord Stream 2 upbeat Denmark will approve gas pipeline proposal
TASS | Nord Stream 2 not intended to replace gas transit through Ukraine, says official
TASS | Energy Ministry expects Russia and Ukraine to agree on gas transit after 2019
TASS | Gazprom ready to renew gas transit contract with Ukraine