2019年9月4日から6日まで、ロシアのウラジオストクにて、第5回となる「東方経済フォーラム/ Eastern Economic Forum」が開催された。今回のフォーラムには、65か国・地域から8000人を超える参加者が集まった。

RTによる全体会合の配信映像 ※動画再生に際し、Privacy Settingのクリックが必要な場合あり

本フォーラムの全体会合(Plenary Session)には、日本の安倍総理のほか、初参加となるインドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相や、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド(Mahathir bin Mohamad)首相らが席を連ねた。インドのモディ首相からは、同氏の演説の中で、ロシア極東地域の発展のために10億米ドルのクレジットラインを提供する旨の発言があった。主には資源開発を目的としており、インドの経済成長を支える上でも、増え続ける同国内のエネルギー需要に対応すべく、多くの資源を有する極東・北極海の資源開発に乗り出したいとの考えである。

また、今回の東方経済フォーラムでも、西部ガスとロシアのエネルギー大手・ノバテク社の2社間で結ばれた基本合意を始めとした、天然ガスに関係する話題が数多くあるが、ここでは、そうした話題の一つとして、全体会合におけるモンゴルのハルトマー・バトトルガ(Khaltmaa BATTULGA)大統領の発言に触れたい。

現在、シベリアから中国に年380億立米の天然ガスを運ぶパイプライン「シベリアの力」が建設されており、2019年末完成・稼働を目標に敷設作業が進められている。

Power of Siberia – Copyright: Gazprom

モンゴルは、以前より天然ガスパイプラインの領内通過を中ロ両国に対して提案しているが、今時点において、具体的な計画が表立っているわけではない。モンゴルとしては、資源の大消費地である中国へのガス輸送に伴って得られるガスの通過料収入や廉価なロシア産天然ガスを得たいとの考えであろうが、今回のフォーラムでバトトルガ大統領が改めて触れた、ロシア産天然ガスをモンゴル経由で中国へと運ぶルートを新たに開設するとの提案内容は、Kovyktinskoyeガス油田や今後開発されるであろうシベリアの他のガス油田から、成都などのある中国中央部へと至る最短のルートということもあって、長期的に見れば、三国いずれにとってもメリットがあるように見受けられる。

詳しくは下記を参照のこと。