天然ガス(Natural Gas)
一般に、天然ガスとは、天然に地下から産出する化石燃料であり、地表条件下では気体状をなす可燃性の炭化水素ガスを指します。通常はメタンやエタンといった炭素化合物を含んでいます。液体化・固体化などの加工をしていないことから、「生ガス」と呼ばれる場合もあります。
現代においては、自動車や火力発電所等でのエネルギー源としてや、化学品の原料としても用いられています。また、不純物を除去した後、匂い付けや熱量調整等した天然ガスは、「都市ガス」として、日本でも一般家庭等で広く利用されています。
天然ガスの用途は多彩で、様々な応用が可能です。詳しくは何につかえるかをご参照ください。
参考 JOGMEC:天然ガス
圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)
天然ガスを圧縮したものを、圧縮天然ガスと言います。通常は耐圧性にすぐれた容器に入れて、輸送および貯蔵を行いますが、圧力容器への格納には、充填用設備として専用のコンプレッサーを使います。天然ガスをただ圧縮しただけなため、コスト性にも優れています。
現代においては、ガソリンの代わりにバスやトラックの燃料として圧縮した天然ガスを使うケースが日本でも増えており、低公害というその環境性から、石油代替エネルギーとして世界中で広く使われています。
圧力容器の仕様により天然ガスを格納できる量は変わりますが、常温のまま、概ね、その体積を気体状のときの1/200 ~1/250にして輸送・貯蔵することができます。特に中短距離の輸送に向いており、船・ヘリ・トラック・鉄道などでの常温輸送が可能です。
ガスパイプラインの未敷設地においては、持ち運びが容易なため、プロパンガスと同じような使い方ができます。(ガス機器の仕様は、天然ガスとプロパンガスでは異なります)
参考 JOGMEC:圧縮天然ガス | 本サイト内:圧力容器について
液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)
天然ガスを液体化したものを、液化天然ガスと言います。天然ガスはおよそ-162 ℃まで冷やすと液体化し、気体のときと比べ、その体積が1/600程度となります。通常、液化の際に水分や硫黄分などの不純物を除去してから日本に運ぶため、日本国内のLNGは非常にクリーンなエネルギー源であると言えます。現代では、海外から日本に輸入されている天然ガスはLNGが主となっています。
専用の設備を整備するための初期コストが多くかかり、また、輸送時や日本国内での貯蔵時も-160℃を維持しつづけなければ液体から気体になってしまうため、その分のコストはかかりますが、気体と比べ、その体積を1/600にできることから、特に船での遠距離輸送に向いています。
参考 JOGMEC:液化天然ガス
天然ガスハイドレート(NGH:Natural Gas Hydrate)
天然ガスを固体化させたものを、天然ガスハイドレートと言います。天然ガス分子が水分子に取り込まれたシャーベット状の人工物質であり、日本の近海に天然資源として存するメタンハイドレートとは区別されています。大気圧下においては-20℃ほどでハイドレート(水和物)化します。
気体と比べその体積を1/160~1/170程度にできることと、液化天然ガスほど超低温で維持管理しなくても良いことや、液化天然ガスと比べ取扱性が穏やかであることから、その製造や輸送などの研究が進められています。LNGほどの初期投資が不要ということもあり、主にはアジア・オセアニア地域からの中距離輸送の方法として期待が持たれています。
参考 JOGMEC:天然ガスハイドレート
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