2020年2月16日付にて、東京・西池袋に本部をおく私立大学・立教大学において、同大学経済学部・蓮見 雄 教授コーディネートによる『エネルギー安全保障:欧州の経験とアジアへの示唆』と題した公開シンポジウムが開催された。

当該シンポジウムでは、ロシアのエネルギーと安全保障に主眼をおいた講演やディスカッションが、下記の面々により、4部構成にて執り行われた。

第1部 日ロエネルギー協力に関する緊急講演会

本村 真澄 氏(元 JOGMEC 主席研究員)
 「ロシアの石油・天然ガス資源について」
植木 孝太 氏(日揮㈱ ヤマル・プロジェクト担当)
 「ヤマル・北極海航路について」
加藤 学 氏(JBIC 石油天然ガス部次長 兼 第3ユニット長)
 「JBICとロシア資源プロジェクト」
酒井 明司 氏(元 三菱商事㈱ 欧州ロシア天然ガス事業部シニアアドバイザー)
 「日ロビジネスの経験から」
小森 吾一 氏(IEEJ 企画事業ユニット主任研究員)
 「アジアの視点から」

第2部 異なるエネルギー・シナリオ

武石 礼司(東京国際大学 国際関係学部 教授)
 「エネルギー・シナリオとエネルギー安全保障への示唆」
蓮見 雄 氏(立教大学 経済学部 教授)
 「EU vs. ロシア:異なるエネルギー安全保障戦略」
服部 倫卓 氏(ロシアNIS経済研究所 副所長)
 「ユーラシア経済連合の協同エネルギー市場」
小森 吾一 氏(IEEJ 企画事業ユニット主任研究員)
 「アジアのエネルギー・シナリオとロシア」

第3部 異なる安全保障認識

東野 篤子 氏(筑波大学大学院 人文社会系 准教授)
 「EUの当方パートナーシップとその安全保障認識」
小泉 悠 氏(東京大学 先端科学技術研究センター 特任助教)
 「ロシアの安全保障認識」
石郷岡 健 氏 (元毎日新聞社モスクワ支局長、元日本大学教授)
 「ロシアと欧州連合との経済統合の結果とコンステレーション理論」
湯浅 剛 氏(上智大学 外国語学部 教授)
 「ユーラシアにおける安全保障認識」

第4部 Implications for Energy Security in Asia

Elena Shadrina 氏(早稲田大学 国際教養学部 准教授)
 ”Does Russia have an Energy Strategy for Asia?”
原田 大輔 氏(JOGMEC 調査部調査課 [ロシア・CIS担当] 、ロシアグループ政府間協議対策チーム担当調査役)
 ”Behind the acceleration of the Arctic development in Russia and the utilization of the Northern Sea Route; Challenges facing Russia and importance for Japanese energy security”
新井 洋史 氏(ERINA 調査研究部長・主任研究員)
 ”Regional Cooperation and Energy Connectivity in Northeast Asia”

いずれのテーマでも通底して感じられたのは、例えば我が国政府や国民含め、ロシアに対する様々な誤解・勘違いが、とるべき政策・戦略の形を歪め、本来得られていたはずの利益を得られない状況を生み出しているという点である。

今後も長い付き合いとなるであろう日露関係について、より建設的かつ現実的な議論が、様々な場面において、引き続き行われていくことを期待したい。

【 参照元 】立教大学 | 公開シンポジウム「エネルギー安全保障:欧州の経験とアジアへの示唆」