2020年1月16日付にて、液化メタンを燃料とするメタンエンジンに関する記事が、露・TASSに掲載された。

TASSの取材を受けたProgress Space Rocket Center(PSRC)の CEO Dmitry Baranov 氏によると、メタンを燃料とするエンジンを搭載した輸送用ロケットについて、ソユーズ2とのコスト比較において、約半額の建造コストを実現する必要があるとしている。

現状、ロシアの輸送用ロケット:ソユーズ2.1bの打ち上げには4550万米ドルのコストがかかる。それに比べ、2025年の導入に向けて開発中のメタンエンジン搭載ロケットの打ち上げコストは4050万米ドル程度になると見られる。PSRCは、推進剤にメタンを使ったロケットを単独で開発しているが、日・欧米の競合事業者によるメタンエンジン搭載ロケットの開発が進む中、ロケットの打ち上げコストを大幅に抑え、これら競合に対抗していかなければならない。目標は、ソユーズ2b.1の打ち上げコストの半額程度にすることだ。

液化メタンの優位性(ロケットの推進剤として使われているケロシンや液体水素との比較)

    1. 液体水素に比べて、単位密度当たりの推進力が大きいため、燃料タンクを小さくできる。
    2. ケロシンなどの炭化水素燃料は,大量のすすを発生させるため、長期運用の際にエンジン内の流路が詰まる可能性がある。一方、液化メタンではすすが発生しないため、長期間運用しても流路が詰まることはない。
    3. 同じくすすが発生しない液体水素と比較すると、液化メタンは蒸発しにくく、液体水素よりも長期の保管が可能(蒸発率は、液体水素の約1/5)
    4. 液体水素に比べ、液化メタンは分子量が大きいため漏れにくく、そのために爆発性が低いことから、液体水素よりも取り扱いやすい
    5. 液体水素やケロシンと比べ、酸化剤となる液体酸素と沸点が近いため、タンクや弁などの機器開発・製造・取り扱いの共通化が可能であり、それによりコストダウンを図ることができる

      [ 沸点=液化メタン:約-161℃、液化酸素:約-183℃、液体水素:約-253℃、ケロシン:約182~268℃ ]

詳しくは下記を参照のこと。