2019年5月13日付のBloombergにて、仏・Engie SAのCEO・Isabelle Kocher 氏の方針に対し、フランス政府をはじめとする投資家やアナリストらが懐疑的である旨の記事が掲載された。

本件について取り上げたのは、記事中に見られる同社の経営戦略に関する部分について着目したいからである。

2016年以降、同社は165億ユーロにのぼる保有資産を売却してきている。油田や石炭・ガス燃焼発電所などを手放し、ガス・電力のネットワーク構築、再生可能エネルギー、サービス効率化のための各種事業などに再投資をしてきたのだ。直近で言えば、2019年4月には東京ガスと再生可能エネルギー関係のジョイントベンチャー(両社50%ずつを保有)を立ち上げ、海外(メキシコ)市場への投資を行っている。また、同年2月には、バイオメタン生産者のVOL-V Biomasseを買収し、フランス国内において同分野のリーディング企業へと変貌した。

これらは短期的には収益を生みづらく、投資家からも嫌気されてか、同社の株価は、2016年5月のIsabelle Kocher 氏のCEO 就任時及びその前後よりやや低調になってしまっている。2015年の株価と比べると、明らかに低下傾向である。

とはいえ、ゼロ・エミッションを掲げその達成を目指さなければならず、一方で、ガス・石油については、ロシアやアメリカから廉価に仕入れられるような時代である。今後の先行きを見通し、見切りをつけるべき事業の選択を進めているこれら取組に面白みを感じるところである。詳細は以下を参照のこと。

【 参照元 】
Bloomberg | French Energy Giant’s Transformation Has Investors Asking: Where’s the Payoff?
Engie | ENGIE and Tokyo Gas to establish renewables joint-venture company in Mexico
Engie | ENGIE acquires Vol-V Biomasse and becomes France’s leading biomethane producer