2019年3月26日付のRussia Insiderにて、北極海の資源や航路に関する記事が掲載された。

欧州・中東方面から東アジアへの物流ルート上、マレーシア-インドネシア間のマラッカ海峡の重要性は広く知られるところであるが、南シナ海での施設建設やインド洋での潜水艦の展開など、近年は南方での中国のプレゼンス拡大が目立つため、安全保障上、特に日本・台湾・韓国などがその影響を受けやすいと考えられる。仮にマラッカ海峡が封鎖もしくはそれと同様のような事態に陥った場合、欧州から東アジアへとつながる北極圏の重要性がより顕著になるが、最近、中国の北極圏へのアプローチが目立ってきており、ロシアサイドも不快感を隠さないようになってきている。

こうした点を柱に、当記事では、主に北極圏の有用性や安全保障に関連づけた「物流」と「資源」について説明している。

アメリカ地質調査所(USGS:United States Geological Survey)の試算では、北極圏には900億バレルの未開発の石油、1.7兆立方フィートの天然ガス、440億バレルの天然がス液が埋蔵されているとしている。

また、アナリストの試算では、仮に北極海が物流ルートとして使えるようになった場合、北欧-東アジア間の距離は40%短くなり、燃料は20%少なくて済む。さらに、北米-東アジア間のルートも使いやすくなる。

2010年、英・BPの石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で技術上の不手際から爆発事故が発生し、大量の原油がメキシコ湾へ流出した。船舶の事故による石油流出もリスクと言えるだろう。環境保護団体は、北極圏で同じようなことが起こる可能性について憂慮しているようだ。今後ますます技術の精度を高め、こうした憂慮を杞憂のものとできる日が来ることを期待したい。

【 参照元 】Russia Insider | Russia’s New Arctic Route to Asia Gives China a Big Military Advantage vs. US